2025年8月20日にタウンズ(証券コード:197A)が発表した中期経営計画(2026年~2030年)は、投資家にとって注目すべき内容でした。
タウンズは「診断技術とデータで社会課題を解決する」をビジョンに掲げ、感染症やがん、認知症など幅広い分野で診断薬の研究開発を進めています。
さらに、高収益体質を維持しながら株主還元にも積極的で、累進配当制を導入予定。
この記事では、投資家目線でタウンズの成長戦略・業績目標・株主還元策を整理し、長期投資対象としての魅力を分析します。
1. 会社概要とビジョン

- 事業領域:感染症検査薬、がん・認知症などの診断薬、AIを活用した画像診断(nodoca)など
- スローガン:「診断技術で、安心な毎日を。」
- ビジョン:「診断技術とデータで、社会課題を解決する」
タウンズはPOCT(Point of Care Testing:その場で簡易に行える検査)のリーディングカンパニーとして成長してきました。今後はデータ活用やAIとの融合を進め、診断領域を拡大する方針です。
2. 業績目標と成長戦略
◆ 業績目標(2025年→2030年)

- 売上高:186.2億円 → 300.7億円
- 営業利益:82.6億円 → 129.8億円
- 当期純利益:63.1億円 → 89.6億円
- 営業利益率:44.4% → 43.2%
利益率40%以上を維持しながら、売上・利益ともに約1.6倍の成長を目指すという強気な計画です。
◆ 成長戦略の4本柱

- POCTの進化・拡充:従来の抗原検査からD‑IA(デジタルイムノアッセイ)、AI画像診断へ
- 慢性疾患領域への展開:がん、認知症、生活習慣病などの診断技術を強化
- データ基盤構築:バイオバンクやEHR/PHR連携によるAI診断・SaMD開発
- 経営基盤強化:ロシュ、塩野義製薬との協業、自社工場の設備投資、BCP体制
タウンズは単なる診断薬メーカーにとどまらず、「データを活用した医療プラットフォーマー」への変革を狙っています。
3. 株主還元方針

- 2024・2025年:特別記念配当を実施(1株28円前後)
- 2026年以降:年間28円を起点とした累進配当制へ移行
- 自社株買い:将来的に検討
累進配当制は、長期投資家にとって安心材料です。利益成長に合わせて配当も増える可能性が高く、安定的なインカムゲインが期待できます。
4. 強みとリスク分析
◆ 強み
- 業界でも突出した高収益率(営業利益率40%以上)
- AI・マルチオミクス技術を活用した成長余地
- 感染症から慢性疾患まで幅広い診断領域
- 配当政策の明確化による投資家還元姿勢
◆ リスク
- R&D負担:先端技術開発には継続的な投資が必要
- 競合:ロシュ、シスメックスなど大手との競争
- 規制リスク:医療機器・診断薬は承認プロセスが複雑
5. 投資家視点でのまとめ
タウンズは、成長性と安定性を兼ね備えた診断薬ベンチャーです。特に、
- 売上・利益の拡大を計画しつつ高利益率を維持
- 累進配当導入で株主還元を強化
- 社会課題(感染症・高齢化)に直結するテーマ性
これらは長期投資において大きな魅力です。一方で、研究開発や規制承認の不確実性は投資リスクとなるため、投資判断の際は慎重に見極める必要があります。短期的な株価変動よりも、**「配当をもらいながら成長を享受する」**スタンスが適した銘柄といえるでしょう。
👉 今後は決算動向や研究開発の進捗を追いながら、長期投資先としての成長性をモニタリングすることが重要です。