TOA(6809)兵庫県神戸市に本社を構える日本の電気機器メーカーで、業務用音響・映像機器の専門メーカーとして、安定した収益基盤と増配傾向が魅力です。
本記事では、同業種のJVCケンウッド(6632)およびグローバル大手ソニーグループ(6758)と比較し、配当・財務・成長性の観点からTOAの企業分析をします。
配当利回りや配当性向、PERやROEなど最新の数値をもとに分かりやすく解説し、長期保有を考える投資初心者〜中級者の読者にも届く内容を目指します。
主要事業と製品群
TOAの事業は主に以下の2つの分野に分かれています:
- 音響分野
- 非常用放送設備:災害時の避難誘導や案内放送を行うシステム。
- 業務用放送設備:学校、駅、商業施設などでの音響システム。
- ワイヤレスシステム:無線マイクやスピーカーなど。
- ネットワークPAシステム:IPネットワークを活用した放送システム。
- インターカムシステム:音声通信システム。
- サウンドシステム:音響機器全般。
- 拡声放送機器:音声を拡大して伝える機器。
- 映像分野
- セキュリティシステム:監視カメラや録画機器など。
- ネットワークカメラシステム:IPカメラを活用した監視システム。
- フルHD同軸カメラシステム:高解像度の映像監視システム。
- アナログカメラシステム:従来型の監視カメラ。


また、鉄道車両関連システムとして、車両内放送設備、カメラシステム、電光表示器なども手掛けています。
TOAは、これらの製品群を通じて、公共施設や商業施設、交通インフラなど、さまざまな分野での音響・映像ソリューションを提供しています。
その高い技術力と品質により、国内外での信頼を築いており、長期的な投資対象として注目されています。
TOA(6809)の最新配当情報と業績動向

- 株価(8月17日):1,112円
- 予想配当利回り:3.78%(2026年3月期/8月15日時点)
- 配当性向:50.9%(2025年3月期実績)
- 自己資本比率:約72.1%
- 予想PER:12.16倍、予想ROE:5.76%
同業他社との比較(数値と特徴)
銘柄 | 配当利回り | 配当性向 | PER | ROE | コメント |
---|---|---|---|---|---|
TOA(6809) | 3.78% | 50.9% | 12.16% | 5.76% | 業務用機器中心、高財務健全性 |
JVCケンウッド(6632) | 1.43% | 40.5% | 13.1% | 16.3% | カーAV中心で増配傾向 |
SONY(6758) | 0.6% | 23.6% | 23.7% | 13.8% | エンタメ強、配当利回りは低い |
投資判断(5段階評価)
項目 | 評価(★1〜5) | コメント |
---|---|---|
配当利回り | ★★★★★ | 同業他社と比較して高水準 |
割安感(PERなど) | ★★★★☆ | PERは適正水準で魅力的 |
成長性 | ★★★★☆ | 業務用ニッチに強く、安定成長期待 |
財務健全性 | ★★★★★ | 自己資本比率が高く安心感あり |
業界ポジション | ★★★★☆ | 音響特化でニッチ市場に強い立ち位置 |
総合評価 | 4.4/5 | 安定配当+高財務で長期保有に好適 |
音響・映像業界内でのポジショニングと成長性
TOAの技術的強みと業務用ニッチ
TOAは家庭用オーディオやコンシューマー向け製品ではなく、防災・公共空間での音響設備に特化した事業モデルを持っています。
放送設備、非常用放送システム、業務用マイク・アンプといった「安心・安全」を支える製品群は、景気変動に左右されにくく、安定した需要が見込めます。
特に近年は、災害リスクへの備えや大型商業施設・公共交通機関での音響システム更新需要が追い風となり、安定した収益基盤を築いています。
JVCケンウッド/ソニーとの差異と補完関係
一方、JVCケンウッドはカーエレクトロニクスや業務用無線機器など幅広い製品を展開し、ソニーは映像・音響だけでなくゲームや半導体センサー、映画・音楽といったコンテンツ事業まで手掛けています。
両社は規模とグローバル展開力で優位に立ちますが、業務用防災・公共音響というTOAのニッチ市場とは重なりにくいのが特徴です。
つまり、TOAは大手とは異なるポジショニングで「地味だが安定した事業領域」を持ち、投資家にとってはポートフォリオの分散効果も期待できます。
まとめ
TOAは、業務用音響・映像機器に特化した確かな技術力と、安定した配当方針を持ち合わせた、長期投資に適した銘柄です。
特に、JVCケンウッドやソニーと比較して、高配当(3.78%)&安定した増配傾向、さらに強固な財務基盤が強みです。
PERが12倍台と割高感も薄く、業界特化型として収益の安定性も期待できます。リスク面では、業界自体が公共・商業施設への依存が高く、市場環境の変化には注意が必要です。
しかし、投資初心者〜中級者にとっても理解しやすく、配当重視の長期ポートフォリオにしっかり組み込める銘柄です。
ぜひTOAを中心に据えながら、着実な資産形成を目指してください!
※本記事は情報提供を目的としたものです。投資判断はご自身の責任で行ってください。