2025年8月1日に発表されたKDDI株式会社の2026年3月期第1四半期決算。売上は堅調ながらも減益となり、決算後に一時株価が下落しました。
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■ 1Q業績ハイライト(2025年4月~6月)
- 売上高:1兆4,363億円(前年同期比 +3.4%)
- 営業利益:2,725億円(同 ▲1.6%)
- 当期純利益:1,711億円(同 ▲3.3%)
一見するとネガティブに見える減益ですが、一時的な費用(販促費など)による影響が大きく、会社側も「期初想定通り」としています。
■ 決算後の株価はなぜ下がったのか?
決算発表後の株価下落には以下の要因が考えられます:
- 一時費用による減益:過年度の販促費用(▲73億円)などが営業利益を圧迫
- デジタルBPOの進捗鈍化:法人向けの一部事業で成長が足踏み
- 材料出尽くし感:業績内容が市場予想と大きく乖離せず、期待先行からの利確売り
ただし、下落は一時的で、その後は反発する動きも見られました。
■ 通信事業は引き続き安定
- スマートフォン契約数:3,291万件(+45万件)
- モバイルARPU:4,340円(+60円)
- モバイル収入:5,506億円(+76億円)
新料金プラン(大容量・使い放題)や「つながる体感」価値(Starlink Direct・海外放題など)の評価が高く、モバイル部門は堅調に推移しています。
■ 非通信事業の拡大も注目
金融やエネルギーなどの分野も成長中:
- 金融取扱高:5兆7,900億円(+13.6%)
- 住宅ローン残高:4.6兆円(+35.5%)
- au PAY カード会員数:1,032万人(+7.0%)
- 今秋からSBI証券との協業も開始予定
通信と金融のシナジーを武器に、中長期の収益拡大が期待されます。
■ セキュリティ・IoT・AI分野で次の成長を狙う
法人向けでは、IoT回線数が800万回線を突破し、セキュリティサービスも国内最大級に拡大。さらにAIデータセンター(大阪堺)を開設するなど、将来のインフラ整備にも力を入れています。
■ 投資判断:中長期では「買い」評価
現在の株価は 2,532.5円(2025年8月1日時点) で、配当利回りは 約3.15% と高水準。以下の点を評価します:
- 通信+金融の両輪で収益基盤が安定
- 高配当・株主還元が充実
- AI/IoT/DX関連の次世代成長が進行中
短期的には法人事業の不透明感や一時費用の影響があるものの、中長期では安定成長が期待できるため、「押し目買い」や「配当狙いの長期保有」に適した銘柄といえるでしょう。
■ まとめ
KDDIは減益決算ながら、安定的な通信収入と非通信事業の拡大、さらには未来志向のAI・DX戦略で成長を描いています。株価が下がった今こそ、長期的な視野で検討したい1社です。